世界各国の宇宙飛行士が宇宙で活動している場所「国際宇宙ステーション」でこのたび野菜の「水菜」が収穫されたというニュースがありました。
人間が活動するには食べ物は当然重要なので、それが宇宙空間で収穫されたというのは大きなニュースですね。
宇宙空間で水菜を栽培
人間が宇宙へ進出するということになれば、当然エネルギーを補給するために食べ物が必要になります。これまで宇宙で食べる食料は、地球から宇宙船によって運ばれていました。
しかし、本格的に宇宙に人が「住む」ということになれば、宇宙で食べ物を作れなければならないでしょう。その課題について、先日、国際宇宙ステーションで水菜が収穫されたそうです。
地上から約4000km上空、秒速約7.7kmで地球を周回している国際宇宙ステーションでは、今後の有人宇宙探査において、宇宙飛行士の食べ物になる野菜を栽培・収穫するという研究実験を続けていました。
野菜の栽培は2013年から始まっていて、今年2019年10月18日に「ミズナレタス」、つまり「水菜」の収穫に成功しました。栽培した宇宙飛行士の女性は地球でも毎日野菜を食べていた野菜好き。
宇宙空間という特殊な場所で野菜を収穫するのは非常にエキサイティングだとか。以前もご紹介しましたが、地球を離れて宇宙に滞在する場合、食事というものは単なる栄養補給以上の行為になります。
狭く不自由な空間に長い間滞在するとき、食べ物が気分転換・リフレッシュにつながるという面がるからです。人間にとって、これは非常に重要なことですね。なにごともストレスだらけでは参ってしまいます。
野菜栽培計画「VEGGIE(ベジー)」とは?
国際宇宙ステーションで2013年に開始した野菜栽培計画の「VEGGIE(ベジー)」は、有人での月や火星の探査等、長期間の宇宙滞在時のために、宇宙で人間が野菜を栽培・収穫することを目指した計画です。国際宇宙ステーションには野菜を栽培するための専用装置があり、この装置でできる野菜は、できてからすぐに生で食べられるものが作られます。
栽培実験装置では、厚い葉で結球をしないリーフレタスのひとつ「ロメインレタス」や、「スイスチャード」等が選ばれていました。2015年に日本の油井亀美也宇宙飛行士も、国際宇宙ステーションで「ロメインレタス」を食べています。
宇宙空間で栽培する野菜の基準は、
・育てやすさ
・収穫できるまでの時間
・大きくなりすぎないすぎないもの
などです。当然栄養面も重要で、カルシウム・鉄・マグネシウム・など、ミネラル量等も考慮されます。味はもちろん色合い・香り・食感等を基準に、宇宙飛行士が地上で食べた野菜の中で一番となったのは、なんと白菜の一種、「山東菜(さんとうな)」でした。
そして今年は、この山東菜の次ぐスコアだった「水菜」が栽培されました。なぜ、このマイナーな野菜が選ばれたのでしょうか。無重力空間では「体液シフト」という、体液が上半身に留まる現象によって、地上よりも食べ物の味がわかりにくくなるそうです。
そのため、地球ではちょっと強い水菜の苦味・辛味が、宇宙飛行士にはちょうどいいくらいに感じられるのかもしれません。野菜の栽培は食べるだけではなく、植物が成長するという視覚的変化で、見た目の楽しさも実感できると好評。また、とかく船内ではわかりにくい時間の経過というのも実感できます。さらに、葉の感触・香りが五感を刺激してリラックスさせてくれる効果もあるそうです。
将来はトマトも宇宙で栽培できる?
来年の2020年には、なんとあの「トマト」の栽培も開始される予定で。トマト用に栽培装置も新しく開発されました。作られるのはミニトマトのひとつで、90日とこれまでの野菜よりも時間がかかりますが、葉物野菜とは違った収穫の楽しみと美味しさがありそうですね。将来的な火星探査のために、火星の土をシミュレートしてトマト・トウガラシを栽培するといった、地上での実験もスタートしています。
栽培する楽しみも
国際宇宙ステーションで収穫された「水菜」についてでした。将来的な宇宙での生活のために、これから本格的に色々できていくと面白いですね。
次は「トマト」ということで、栽培する楽しみもまた増えるでしょう。