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2013年、ロシアのチェリャビンスク州に落ちた隕石落下について

2021年6月9日

2013年チェリャビンスク州の隕石落下 wikipedia

2013年チェリャビンスク州の隕石落下 / wikipedia

 

みなさんは、2013年にロシアのチェリャビンスク州に隕石が落ちていたことをご存じでしょうか。2013年といえば、それほど昔の話でもないですよね。あまりニュースを見ていないという人は、知らなかったという人もいるかもしれません。

 

しかし、この隕石によって自然災害が起こり、隕石が原因としては初めて、大きな規模で人的被害が起きた事件でもありました。ということで、今回はこの2013年に起きた、ロシアのチェリャビンスク州の隕石落下事件について紹介します。

 

2013年の2月15日、ロシアに隕石が落ちてきた

2013年チェリャビンスク州の隕石落下 wikipedia

2013年チェリャビンスク州の隕石落下 / wikipedia

 

2013年の2月15日、ロシア連邦のウラル連邦管区、チェリャビンスク州付近に隕石が落下しました、チェリャビンスク州はロシア南西にある面積87,900km2の州で、カザフスタンとの国境が南にあります。

 

この日、直径17mという大きさの小惑星が、地球の大気圏に落下。現地の時間9時15分に、閃光とともに落ちてくる火球が、チェリャビンスク州等で観測されました。火の球は9時20分26秒、上空15km〜50kmにおいて爆発。破片になって落下していきました。落ちた隕石はチェリャビンスク州〜スヴェルドロフスク州〜オレンブルク州上空で目撃されました。

 

太陽よりも明るくなった隕石

 

分解前の隕石の大きさは、諸説ありますが直径数m〜15mとされています。ロシア科学アカデミーは、質量10トン、落下速度秒速15km以上としています。大気圏に入っても燃えずに地上まで落ちたため、鉄等の硬い物質でできていたとされています。

 

NASAによれば、大気圏に突入する前の大きさは直径17m・質量1万トンだそうです。これらのデータを見ると、隕石の大部分は大気圏によって燃えたようですね。映像などからの分析では、高度90kmで最初の衝撃波が大気に起こり、83kmで隕石が分裂していき、チリが形成されたそうです。高度30kmのころが、火の球が最も輝いた高さです。

 

このとき、火の球から100km以内では火の球は太陽よりも明るくなって、この紫外線で、屋外にいた人間が日焼けを負ったケースもあるとか。太陽よりも明るくなったというのはすごいですね。分析によれば、この小惑星は太陽系の年齢と同じ約46億年前にできたものですが、3000万年前〜5000万年前に小惑星が衝突を起こした痕跡でないかと考えられています。

 

 

チェリャビンスク隕石と命名される

 

落ちた隕石のほとんどは高温によって燃え尽きていました。落ちた隕石の大多数はグラム単位ほどのサイズで、地表に落ちた総量は4トンから6トンとされています。しかし、この事件から約1時間後〜1日にかけて、この地で焦げた匂い・硫黄の匂いを感じた人がいて、これは隕石のチリのためではないかと考えられています。

 

チェバルクリから約1kmにあるチェバルクリ湖の表面の氷に、隕石落下が原因と見られる直径約8m・約6mの穴が見つかり、2月17日には、この湖で53個の破片をロシア科学アカデミーが発見。分析すると、これは金属鉄含有量が地球の物質とは10%違う破片でした。

 

後にチェリャビンスク州の広い範囲でも同じ隕石の破片が見つかったこともあり、3月18日にこれらが「チェリャビンスク隕石」として正式登録されています。

 

 

100年に1度くらいの非常にレアなケース

 

実は、直径3m〜7mという隕石はほとんど毎日地球に落下しているそうです。しかし、その大部分は大気圏で燃え尽きたり、海上や無人地域に落下しているそうです。これ以上の大きさの隕石が人口が密集した地帯の付近に落ちるのは珍しく、今回の件は100年に1度くらいの非常にレアなケースとされています。

 

 

それほど大きくない隕石でも被害が

 

サイズ的にはそれほど大きなものではなかったチェリャビンスク隕石ですが、それでも人的被害は起きています。まず、超音速で隕石が落下し、大気の圧力で分裂したこれらの現象によって「ソニックブーム」が起こりました。

 

ソニックブームとは音波にまで減衰しない衝撃波のことで、チェリャビンスクと近辺では、合計4474棟という建物の窓ガラスが割れる・ドアが吹き飛ぶ等の被害がありました。この割れたガラスや、衝撃波による転倒等により、1491人が怪我をし、重傷患者は52人でした。

 

中には閃光を見ての視力障害や指が切断されたケース、隕石に直接頸椎に当たって骨折し病院に送られた人もいました。隕石が原因の災害として、これ以上の負傷者が出たことはなかったそうです。窓ガラスが割れた学校・幼稚園には休校となり、一時的に携帯電話も使えなくなったそうです。

 

 

国際的な探索がされています

 

チェリャビンスク隕石のように落ちてきたのが小さな破片だったとしても、人口密集地であれば大惨事となることがわかりますね。地球に近づいてくる小天体の存在・大きさは正確にはわからないので、推測することは難しいですが、太古の昔に恐竜を絶滅させたような直径10kmサイズの隕石は数千万年に一回、直径1kmは数十万年に一回とされているようです。

 

ロシアは国土が広いので、以前に「ツングースカ事件」という、隕石が大気中で爆発した事件がありました。現在では、国際的な協力によって、各地の天文台で地球近くに軌道を持っている小天体の探索がなされています。

 

 

小さなものでも隕石は脅威

 

ロシアのチェリャビンスク州に落ちた隕石についてでした。隕石自体は大きなものではなかったのですが、それでも衝撃波によって大勢の人が怪我をしていたんですね。実は地球にはほぼ毎日小さな隕石が落ちているというのも、知らなかった人も多いでしょう。

 

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