人間が地球から旅立ち、宇宙に出て行く計画は昔から語られてきましたが、
惑星を地球のような人間の住める星に改造するのが「テラフォーミング」です。
テラフォーミングの候補の一つに、金星があります。
金星を植民するという、人類が金星に移り住み、金星の環境において
生活していく宇宙移民構想のひとつが、科学者の間で語られてきました。
今回は金星のテラフォーミング、移住について紹介してみましょう。
(画:金星 wikipedia)
金星は地球に似ているから有利!?
金星は地球の「姉妹惑星」と呼ばれることもあるくらい地球と似ている点があり、
これがほかの惑星への移住よりも有利な点とされています。
金星と地球は質量と大きさが似ていて、つまり重力もほとんど同じです。
宇宙探査や植民計画は低重力・無重力からくる人間の筋肉と骨の影響を考えなければなりませんが、
金星で人間が生活することになっても、その重力に適応するのはさほど大変ではないとされています。
また、金星の上層の大気も地球と気温や気圧が似ていて、
さらに太陽のエネルギーもたくさんあります。
金星の大気周辺の太陽定数(地球上で太陽の光が垂直の単位面を通過するときの太陽光のエネルギー)は
地球の約2倍となっています。
金星は月のほかでは地球にもっとも近い距離にある主要な天体のため、
輸送・通信という面でもほかの太陽系の惑星よりも容易という点も見逃せません。
金星で人間が暮らすためのの欠点としては、表面温度が語り高いというものがあります。
赤道あたりでは500度という温度になり、これでは人間が暮らすのは難しいでしょう。
また地表の大気圧も地球の90倍で、
水もほとんどなく高濃度の二酸化炭素が大気のほとんどとなっています。
このへんが金星に人間が移住することの欠点と言えるでしょう。
金星に人間が住むにはこのような欠点がありますが、
テラフォーミングをすることによりこの問題が解決できると考える科学者がいます。
地表ではなくて、上層の大気に植民するという考えもあります。
ただし、どのようなテラフォーミングを行うにしろ、
必要なエネルギーは当然膨大で、数千年〜数万年という単位の時間がいるようです。
人間が息をできる空気が金星の大気で浮く気体であることから、
「フローティングシティ」という構想があります。
この構想は、息ができる空気を満たすドームが、自身の重量とコロニーを浮上させ、
金星の上層大気に人間が植民するというかなりすごい計画です。
テラフォーミングについては、1960年代にカール・セーガンというアメリカの天文学者兼SF作家が、
二酸化炭素を酸素にするために、金星の大気に「藻類の種」を蒔くといった案を考えました。
ただ、金星は水がごくわずかなため、少しだけ水蒸気を消費するという光合成でも、
酸素は少量しか作れないことが知られています。
同じくアメリカの航空宇宙技術者兼作家のロバート・ズブリンは
巨大ソーラーシールドによって金星を太陽の熱から守り、
二酸化炭素をドライアイスにして雪として降らせるほど冷やし、
埋めるまたは火星に送るという方法を考えました。
金星への太陽からの熱を守れば、
あとは温室効果ガスを取り除ければ、気圧・熱の問題は無くなります。
しかし水不足が重大な問題です。
氷が含まれた小惑星をぶつけるにしても、時間ががかるだけでたいした効果はないとされており、
これらの問題が解決できる答えが見つかるのは、はるかに遠い未来になるでしょう。
テラフォーミングはとにかく大変です
(画:テラフォーミングした金星 wikipedia)
金星のテラフォーミングについてでした。
金星は地球のお隣さんの惑星で距離が近く、
大きさも地球に似ているという点は人間が移住するために適しているんですが、
地球よりも太陽に近いので表面温度が非常に高いのが問題ですよね。
テラフォーミングにかかる時間は火星なら千年、金星が1万年とも言われています。
やはり、もしも本当にできるのならそれぐらい長い時間がかかるのではないでしょうか。