「宇宙」といえば、重力がないことを思い浮かべる人も多いでしょう。宇宙が舞台となるSFの映画や小説とかでおなじみですから、ほとんどの人が宇宙空間=無重力と考えているのではないでしょうか?ところが!これが大きな誤解なのです。宇宙にも、実は重力はどこにでもあるのです。では、テレビのニュースなどでよく見る宇宙飛行士のシャトル内の映像とかは、なぜ無重力な感じでフワフワと浮いているのでしょうか?ちなみに、テレビのニュースなどでよく見る宇宙飛行士のシャトルの映像は、地表から400キロメートルくらいの高さであり、この高さでは、地上の重力よりわずか10%しか減っていない状態なんだそうです。それならなぜ、あのようにフワフワと浮いているのでしょうか?
人工的に無重力空間を作れるんです
それは、人工衛星内でも人工衛星の外でも、人間は人工衛星と同じ速度で地球の周りを回転しています。この回転は地球に向かって直角方向の運動と、地球方面へ落下する運動が合成されたものです。たとえば、エレベーターに乗っていたときに綱が切れて落下した場合は、地上に落ちるまでエレベーター内で宇宙飛行士のような遊泳が出来ることになります。あのよく見る人工衛星内の宇宙飛行士の映像は、つまりいつまでも落下しているエレベーター内と同じと言えます。7,9km/s以下の速度でも、人工衛星が地球に落ちるまであの無重力遊泳ができます。宇宙飛行士は過酷な訓練をすることで有名ですが、その訓練のなかでは飛行機を高い場所から落下させて無重力状態を作っています。水平飛行をしているときに飛行機のエンジンを停止すると、惰性によって前進していきながら落ちていきますが、機内はそのときに無重力状態となります。このとき、エンジンを停止したときの速度が7.9km/s以上の場合、落ちることがなく人工衛星になります。では、宇宙の重力ってどうなっているんでしょうか?月は地球を回っていて、地球も1年かけて太陽を回っています。太陽系ですら、銀河の中心にあるとされるブラックホールの周りを回っているのです。この回転は、重力によって行われています。つまり、結局は宇宙にも重力は存在しているのですね。
「宇宙ステーション」とは、宇宙空間で地球の軌道上にある、人間が住むために設計された人工天体の建造物です。この宇宙ステーションも前述のテレビのニュースのシャトルのように、無重力空間となっています。これはなぜなのでしょうか?これも、宇宙ステーションもシャトルと同じく常に自由落下をしているので、内部が無重力状態となっているのです。しかし、宇宙ステーションとは人間がそこで生活をするために建てられた人工天体ですから、長時間そこで生活をすることによってさまざまな問題が出てきます。たとえば筋肉の機能が低下したり、骨・カルシウムが溶けたりする悪影響があります。さらにあのような無重力空間というのは置いてある「物」も無重力になるため、この取り扱いにも注意する必要がでてきます。
有名な「2001年宇宙の旅」のワンシーン
このような問題を解決するために、宇宙ステーションで人工重力を生み出すことが計画されています。日本も開発に携わっていた実験では、遠心力で重力を作るという予定でしたが、2005年に中止が決定されましたが、このようなアイデアはすでにSF小説や映画では多く登場しています。たとえば有名なSF映画の金字塔である「2001年宇宙の旅」では、回転軸を中心にした車輪状の宇宙ステーションが登場しています。あの中では、変わったカメラワークによって宇宙飛行士がマラソンをしているのが描写されていたのが印象的でしたね!
今まで意外に知らなかった事実
人間の思考にも大きな影響を与えているのではとも言われている重力ですが、実は宇宙にも重力は存在していたんですね。普段、我々がいかにテレビの映像に影響を受けているということが最認識できた事柄といえるのではないでしょうか。