現在は民間企業の宇宙開発に注目が集まっています。
つい先日も、イーロン・マスク氏のスペースXが巨大ロケットの打ち上げに成功、
赤いロードスターが宇宙を漂うという映像が衝撃的なニュースとなりました。
ここで、火星や月などの居住化を計画している、
民間企業の宇宙開発における3人のキーパーソンについてみていきましょう。
メディアでよく比較される2人
現在、宇宙開発を熱心に進めている3人の大富豪がいます。
スペースXのイーロン・マスク氏は火星移住計画を発表、
あのAmazonのジェフ・ベゾス氏は月に居住地を建設する計画を、リチャード・ブランソン氏は、
自らのヴァージン・ギャラクティックで宇宙旅行を計画しています。
この3人の中でまず、スペースXのイーロン・マスク氏とAmazonのジェフ・ベゾス氏は
まったく違う性格を持ち、そのためか宇宙開発のアプローチも正反対です。
メディアなどでもよく、
「イーロン・マスク VS ジェフ・ベゾスの宇宙開発バトル」などと取り上げられています。
片方のイーロン・マスク氏は天才実業家と評されて言動も大胆なものが多く、
マスコミに大きく取り上げられていますが、
反対にジェフ・ベゾス氏は目立つことを好まないという性格です。
今ではネットショップ最大手となったAmazonの創設者で、
「ワシントンポスト」紙のオーナーでもある、2018年において世界で第1位の富豪というベゾス氏が、
スペースX社よりも2年早い2000年に設立した宇宙開発ベンチャー企業「ブルーオリジン」は当初、
本人がそう望んでいたように知名度はありませんでした。
マスク氏のほうは目立つことが好きな性格のようで、
2003年に自社のロケット「ファルコン1」の
実物大の模型をワシントンDCナショナルモール公園に運んで、
NASAに注目させています。このような言動で短い間のうちに宇宙開発の注目人物になりました。
ベゾス氏のブルーオリジン社は「一歩一歩、獰猛に」というモットーがあり、
スポットライトを浴びたがらず、時間をかけて堅実に取り組む性格です。
イーロン・マスク氏は、もしも隕石などで地球の生命が絶滅してしまうような事が起きたとき、
人間には、「バックアップ計画」があるべきだとしています。
そのため、人類を宇宙に送るためのロケットを開発しています。
ジェフ・ベゾス氏は、宇宙開発は地球を守るために行います。
地球の資源は人間によって無くなっているのが現状ですが、宇宙には限りないほどの資源があります。
ここで問題となるのが、「宇宙開発は本当に賢明な投資なのか」というものです。
ただの投資目的なら、宇宙開発よりリスクが少ないものはいくらでもあるでしょう。
実は、宇宙事業に手をかける民間企業というのは最近では珍しくなくて、
アメリカでは1990年代から多くの宇宙ベンチャー企業が立ち上がりましたが、
そのほとんどはロケットひとつさえ造れずにこの事業から撤退しているという現状があります。
それでもこの2人が宇宙開発をする理由は、
人の役に立ちたい・お金を儲けたいといった気持ちのほかにも、
「純粋に宇宙に行きたい」といった冒険心もあるのではないでしょうか。
第三の男、リチャード・ブランソン
(画:リチャード・ブランソン wikipedia)
イーロン・マスク氏とジェフ・ベゾス氏は宇宙開発でよく比較されることがありますが、
ここで「第三の男」が現れます。
それが、リチャード・ブランソン氏です。
イギリスのヴァージンレコードを創立した型破りな社長として知られており、
FOX系列のテレビ番組などでも出ていたことがあり、
日本人でも知っている人も多いでしょう。
リチャード・ブランソン氏も、宇宙開発に参加しました。
型破りな社長ということで、タイプ的にはイーロン・マスク氏に近いかもしれません。
ブランソン氏は、今までも多くの破天荒な冒険にチャレンジしてきました。
ヴァージンのブランドを全世界に宣伝するため気球での太平洋の横断に挑み、
予定の南カリフォルニアではなくカナダの凍った湖に墜落しました。
それでも、メーン州〜イギリスまでの大西洋横断に成功しています。
こんな人物が宇宙開発に乗り出すというのも、また必然といえるかもしれませんね!
ブランソン氏のヴァージン・ギャラクティック社は、宇宙旅客機「スペースシップ2」
で搭乗客を宇宙空間に送るツアーを計画しました。
チケット代は25万ドルで当然ながら高価な値段ですが、
今後は一般人でも購入できるような価格になるかもしれません。
この宇宙船の乗客は、無重力になった船内を泳いだり、
我々が住んでいる地球の姿を見るなどといったことができます。
しかし、計画中の2014年には試験の際に宇宙船が墜落し、
パイロットが死亡したという残念な事故がありました。
それでも2018年には初の宇宙旅行が行われる可能性があるそうです。
「問題はVG社長のジョージ・ホワイトサイズと多く議論した。事故が起きない保証はない。
人的ミス・技術的問題で起きる可能性もある。
まず原因を追究することだ」とブランソンは語ります。
「しかし、私は途中でものごとを投げ出すというタイプじゃないんだ。
気球に乗ったときも死にかけたがやめなかった。
何があろうと前進あるのみが私の性分なんだ」
昔の宇宙開発は「軍事プログラム」だった
このように、現在では民間企業が宇宙開発に進出しているというのがおどろきですね。
一昔前なら、宇宙開発はNASAなどの国家の専門機関が行うものと決まっていました。
たとえば人類初の有人月着陸に成功した「アポロ計画」は、
アメリカはソ連との激しい競争のおかげでその偉業を達成できたといってもよいでしょう。
その時代の宇宙開発というのは国の「軍事プログラム」という側面が強かったのです。
上記の3人は、民間の宇宙開発に競争意識を植えることで新しい流れを生んでいます。
60年代のソ連とアメリカのように、
このような競争が開発・安全性・革新性を向上させるファクターになるでしょう。
とはいえ、民間企業が宇宙に飛ぶロケットを作るというのはやはり大きなチャレンジです。
失敗するかもしれないリスクも高く、
豊富な資金のほかにも度胸・勇気も必要になるでしょう。
現在の3人の状況は?
(画:ジェフ・ベゾス wikipedia)
ベゾス氏とブランソン氏の企業は、「宇宙旅行」の分野で競っています。
両社とも今年2018年中にサービスを開始することを目指しています。
一方、マスク氏のスペースX社は、
国際宇宙ステーションに有人飛行を計画中で、ここでボーイング社と競争の最中です。
現在、メディアの注目を集めるという点ではマスク氏が一番でしょう。
NASAに対しても受注を受けており、
先日の「ファルコンヘビー」や火星移住計画もメディアに度々取り上げられています。
1度に100人が搭乗できる巨大ロケット・宇宙船を開発することを発表していて、
早くて2022年に打ち上げを開始、それから40年から100年という時間をかけて、
火星の地に人口100万人ほどの都市を作るとしています。
ベゾス氏はあくまでもゆっくりとマイペースですが、
ウサギと亀の話もあるので将来的にはわかりません。
また、「ニューグレン」という新型の巨大ロケットを建設中で、
これが完成すれば「ファルコン9」のライバルになることは確実です。
ニュー・グレンはまだ実際に存在していないロケットですが、
同社の技術力、低コスト化の期待等から、もう企業から打ち上げ受注を受けており、
受注をめぐって競争が開始されています。
ブランソン氏の最終的な目的は、「短時間で長距離を移動できる旅客サービスを提供すること」です。
これが実現すれば、宇宙船から大気圏外に飛び出して地球の目的地に着くといったことができるので、
海外旅行の移動時間を大きく短縮することも可能になるかもしれません。
ブランソン氏はこの2人の争いに興味はないそうです。
「誰が最初に商業的有人宇宙飛行で成功するかというのは問題じゃない。
ジェフは実にエキサイティングな計画を持っているが、私たちとは方向性が違う。
イーロンが本当にやりたいことは惑星探査じゃないか?」と語っています。
宇宙開発に貢献する3人
現在の民間宇宙開発のキーパーソン3人についてでした。
ただ、競争に関係なくこの3人が宇宙開発に大きな貢献をしているのは間違いないでしょう。