宇宙雑学

ペットボトルロケットの原理などを分かりやすく解説

2018年7月1日

 

「ペットボトルロケット」は、宇宙が好きな人なら一度は作ってみたい工作ですよね?

日本でも海外でも、こういった小さなロケット作りから、

本物の宇宙を目指すという人も多いと思います。

 

しかし、ペットボトルで作るロケットは、どんな原理で飛ぶのかご存知でしょうか?

ここではペットボトルロケットの原理について迫ってみました。

 

ペットボトルロケットの原理

 

ペットボトルロケットというのは、炭酸飲料のペットボトルを空にして、

その中に水と「圧縮空気」を入れ、、弁を一気に開くことで、

そこから勢いよく飛び出す水・空気の「反作用」で飛ぶロケット模型です。

 

ペットボトルロケットは中に水を入れるので「ウォーターロケット」とも言われています。

 

日本では火薬などが法規制で厳しく設定されているため、

模型ロケットの実験として最適という特徴があります。

 

原理は上記のように圧縮空気の圧力によって水を噴射させるということになります。

 

重さは200gと非常に軽量であり、子供たちにとって

「作用・反作用」のようなことを学ぶ上でとてもためになる教材とされています。

 

メリットとして火薬を使わないので火事にならないこと等があるので、

意外な使い方として山岳地の電線を通すために屋根〜屋根へ架線作業のために利用されています。

 

中部電力がペットボトルロケットを延線工法として最初に使用したとされていて、

ペットボトルを2本つなぎ、水の量も増やした大型ウォーターロケットも使われています。

 

ペットボトルロケットの歴史

 

ペットボトルロケットの歴史は、

昔からアメリカではジュニアスクールやジュニアハイスクールのような子供たちから大学生〜大人まで、

火薬の固形燃料を使って模型ロケットを飛ばすといったことを授業や趣味でしていました。

 

日本はこのような固形燃料で小型のものでは花火と同等ですが、

大型なものでは都道府県知事に届出をするなど多くの義務があります。

アメリカと違って人口密集地も多いので模型ロケットはあまり普及しませんでした。

 

日本ではこのようなことから長い間学校の授業で小型ロケットの実験はやりづらいものがありましたが、

1990年代に廃品としてのペットボトルで圧縮空気を使い、

打ち上げることができるペットボトルロケットが有名になると、

学校のカリキュラムにおいて取り入れられていくようになりました。

 

 

リアルロケットもペットボトルロケットの原理と同じ!

 

ではいよいよ、ペットボトルロケットについて、

もっと詳しい原理を紹介してみましょう。

 

ペットボトルロケットのペットボトルに入れる材料は、水と圧縮空気のみです。

物体に力を加えると、その反対の方向に必ず同じ力が働くことになります。

これが「作用・反作用」の法則です。

 

基本的な作用・反作用の原理は、

重量×速度の「投げる力」と重量×速度の「受ける力」がイコールになるということであり、

重い物体を高い速度で飛ばすには、強い反作用を生む巨大な力が必要になります。

 

例えば、ライフルで10gの弾丸を音速で発射するときの反動は、

何十kgも体重がある人間なら受け止めることが十分できますが、

10kgの砲弾を音速よりも何倍もあるスピードで、

飛ばす戦車の砲台の反動を人間がそのまま受けることになると、

音速のような速さで後ろに飛ばされることになるでしょう。

 

ペットボトルロケットの圧縮空気が水を後方側に押すことになり、

同時に押し返す力が前方側に働き、この力でロケットが前方に飛ぶことができます。

 

サイズ・燃料はまったく違うものの、

実際のロケットもこれと同じ原理で飛んでいるというから、

まさに宇宙ロケットを学ぶには最適な工作ですね。

 

ロケットは燃料に酸素がない宇宙空間で燃料を燃やせる酸化剤を混ぜて火をつけ、

できた大量のガスを後方に噴き出すという反作用で飛んでいるのです。

 

燃料のタイプもありますが、ロケットエンジンの排気ガス速度は秒速で1.7〜4.5kmという、

音速の5〜13倍の速さになり、これはジャンボジェット機のエンジンの4倍ほどの推進力になります。

 

ペットボトルロケットは、本物の燃料ガスの代わりとして、

水を噴射させる空気の圧力によって上に飛ばします。

 

巨大なロケットを宇宙に打ち上げるには多くの燃料が必要になりますが、

ペットボトルの500mlくらいの重さなら、約27.5gほどです。

 

水はガスより重いので、ほどほどのスピードで水を噴射することができれば

ペットボトルを打ち上げるために十分な反動ができます。

 

500mlのペットボトルに150gほどの水を入れて、勢いよく噴射させることで、

反動によってペットボトルが遠くまで飛んでいくでしょう。

 

 

ペットボトルロケットの作り方

 

ではここで、小学生でも作れるというペットボトルロケットの作り方を見ていきましょう。

小学生でもできるということで、作り方はとても簡単です。

 

ただ、なにも知らない人の場合、

ペットボトルロケットはどんな飲料のペットボトルでもできると思うかもしれません。

ところが、実はそうではありません。

 

ペットボトルロケットは圧力がかかるために、

「炭酸飲料」のペットボトルを使わなければなりません。

 

たとえば他の、

ミネラルウォーター・お茶などの飲料のペットボトルは、

構造・強度が炭酸飲料のものと違うので、危険性があります。

 

「炭酸飲料」のペットボトルを2本用意します。

 

一本の本体はそのままに、

もう一本はカッターで「頭」部分と「スカート」部分にするために切ります。

 

本体の底面に「頭」部分を、先端に「スカート」部分を接着剤でつけます。

本体の先端が発射口になります。

 

「ゴム栓」はペットボトルの中の圧力を保って、

ある以上の圧力になると自動的にとれて圧力を放出するために必要な物です。

圧力を逃がさないため、きちんとはまる栓がベストです。

 

ペットボトルロケットのゴム栓は、「6号」のサイズが基本です。

6号とは、上側直径が23mm 下側直径が20mm 高さが26mmの栓です。

シリコンゴム等もありますが、より柔軟性がある天然ゴム・合成ゴムの方がよいでしょう。

 

ゴム栓の代わりとして「コルク栓」を使うことも出来ます。

サイズが合わない場合、包帯等を巻き付ける方法もあります。

 

栓の中心に穴を開けて、空気入れ針をそこに入れます。

ペットボトルの先端に栓をつめたとき、針先が突き出すように、

大きい側を上にして空気入れ針を入れます。

 

栓は引っ張れば抜けるものでなければならないので、「ふた」は使えません。

ペットボトルのふたなどを使うと圧縮空気が解放されずにペットボトルが

破裂することになるので絶対に使わないようにしましょう。

 

ペットボトルにロケットのような部品をつけるのもよいでしょう。

これで飛距離や安定感を調整することもできます。

 

「ボール紙」を半円形に切って丸めて円錐形にして、「頭」部分につけます。

内部に新聞紙をつめると安定して飛ぶことができて飛距離も出ます。

これを先ほどの「頭」部分に接着剤などでとめます。

 

左右の翼は牛乳パックで使います。これをそれらしく切って側面に貼りましょう。

 

これが、意外にも空気の流れを調整してロケットを安定させるという効果を持っています。

 

手でゴム栓を持って飛ばすと、飛び出した水で体が濡れてしまうので、

自作の発射台を作ったほうがよいでしょう。

 

 

いよいよ発射!

 

発射台にペットボトルロケットを取り付けたら、推進剤である水を入れます。

水はペットボトル容量の3分の1の量が目安です。

 

水の量が少なすぎても多すぎてもと飛距離がなくなってしまいます。

 

ゴム栓をペットボトルの口に差し込みます。

しっかりとねじ込むことでよく飛ぶようになります。

 

ペットボトルロケットはタイヤ用などの「空気入れ」で発射させます。

一気に空気が入れられるスタンドタイプがおすすめです。

 

空気入れのバルブにゴム栓中心の空気針を接続し固定します。

ほとんどの空気入れでは固定できる機構があるので道具はいらないでしょう。

空気を注入する部分が地面について踏ん張れるか確認しましょう。

 

空気入れでペットボトルに空気を送っていくと、圧力が高まっていってゴム栓が外れ、

ロケットが発射します。

 

ゴム栓が外れるまで、勢いよく空気を入れることがコツになります。

 

 

ペットボトルロケットの安全性について

 

ペットボトルロケットができた当初は、

圧縮空気に耐えることができる「弁」を製作することに多少難がありましたが、

最近では技術の進歩によって市販されている耐圧弁・発射装置があり、

小学生でも作って打ち上げることができるようになっています。

 

ただし、打ちあがったペットボトルロケットは高速で飛ぶので、

正しく作らないと空気抵抗によって垂直に飛ばなかったり、

中の水と圧縮空気を入れるポンプの押す回数、

風向きを計算して追い風や向かい風に沿い飛ばすといった技能的なものも必要です。

 

そのため、日本各地ではペットボトルロケットが競技として打ち上げられたりしています。

 

小学生でも作れるペットボトルロケットですが、もちろん安全対策も大事です。

ペットボトルロケットの中には飛行距離が200m以上というものもあるので、

人気のない広場が打ち上げ場になります。

 

日本では250m以上なにかを打ち上げるときは飛行通報書というものを必ず出す必要があります。

空港の周辺でも打ち上げが禁止されています。

 

 

実際のロケットの原理が学べます

 

ペットボトルロケットの原理、作り方・飛ばし方についてでした。

これで宇宙に打ち上げられるロケットの原理を学ぶことができるでしょう。

小学生でも作れるのですが、やはり安全には気をつけましょう。

 

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