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第9惑星発見のパンくず?通称「ゴブリン」について

2018年11月2日

宇宙

 

先月は惑星X、プラネット・ナインについてご紹介しましたが、先日10月2日、第9惑星

の存在を示すかもしれないという準惑星が太陽系外縁で見つかったことが国際天文学連合から発表されました。

 

ここで「ゴブリン」と呼ばれるこの準惑星についてみていきましょう。

 

天体がなぜ「ゴブリン」?

 

このたび、太陽系外縁部で太陽を1度公転する時間が4万年という準惑星が発見されて、これが「2015 TG387」と名付けられました。

 

これは彗星を除いて既知の太陽系天体としては最も太陽から遠くまで移動している天体です。

この天体が最後に太陽に最接近した時、地球はマンモスがユーラシア大陸ののっそりと歩き、人類はまだ石から道具を作っていた時代だったというからおどろきですね。

 

この「2015 TG387」は愛称で「ゴブリン」と呼ばれています。

なぜあのゴブリン?なのかというと、これはハロウィーンのシーズンに見つかったためにつけられたんだそうです。

 

意外と、いいかげんにつけられていますね(笑)

 

今回の発見は、ハワイはマウナ・ケア山の頂上にある日本のすばる望遠鏡が見つけました。

 

口径約8メートルのすばる望遠鏡は、地球からはるか彼方の太陽系外縁を観測することができて、さらに未知の天体を見つけられるのに十分な視野を持つという、世界唯一の天体望遠鏡なんです。

 

なぜこれが世界屈指なのかといえば、他の天体望遠鏡は、細長い穴から見るような形状なので、存在が判明している天体の観察はできますが、視野が狭すぎて広範囲の探索ができないため、未知の物体を見つけるには不向きだからです。

 

「2015 TG387」は球体とされていて、直径およそ290キロです。

 

現在の太陽までの距離は約80天文単位で、これは太陽〜冥王星までの2倍の距離です。

それでも現在は太陽に向かう軌道上にあり、太陽に最接近しても距離は65天文単位、最も遠ざかったときの太陽までの距離は2300天文単位というので大変です。

 

このため、他の太陽系外縁天体の一部と同じく、極端に偏っている軌道が、未知の「プラネットナイン」の存在を示すのかもしれないと学者たちは考えています。

 

観測には忍耐がつきもの

 

この天体の発見者のひとりは、カーネギー研究所に所属するスコット・シェパード氏です。

「2015 TG387」という名前を見ると、2015という文字が気になりますね?

 

これはやはり、2015年になって初めて天文学者たちの注意を集めたことからつけられています。

 

シェパード氏は世界有数の大型望遠鏡で、長い間太陽系外縁部を観測していまた。

太陽系の彼方まで投げ出されながら、それでもギリギリで太陽の引力に留められている珍しい天体を求め、くまなく調べていました。

 

このような観測は、もちろん膨大な時間・忍耐が必要です。小さい光の点をただ1個見つけても、詳細はわからず、ゆっくりと移動している対象物を我慢強く追わなければならないのです。

 

「正確な軌道を割り出すのに3年かかりました。また、この天体に似た距離にあるいくつかの天体も見つけましたが、それらが調査に値するかを見極めるだけでも1〜2年はかかるでしょう」

 

とシェパード氏は語ります。

 

この天体、現在は比較的に地球から近い位置にあるものの、肉眼では見えません。

 

冥王星の小さい衛星と同じくらいの明るさである24等級だからです。

その冥王星ですら、大きい家庭用天体望遠鏡を使った経験者でなければ見ることが難しいのです。

 

プラネットナインへの「パンくず」

 

2015 TG387、ゴブリンのような偏った軌道を持つ天体は複数見つかっていますが、このような軌道の原因となっている巨大な惑星が、太陽系外延部にある可能性があるのでしょうか。

 

シェパード氏は、複数のこれらの天体は「プラネット・ナイン」に導く「パンくず」のようなもので、このようなパンくずが多く見つかるほど、太陽系外縁や「プラネット・ナイン」について知ることができるので、太陽系の進化について再定義することができるでしょう」と語っています。

 

このような天体の軌道をそろえることで安定させているなにかがあるとしていて、それが第9惑星ということです。これが「ゴブリン」の反対側にいて、軌道に影響を与えているのではと予想しています。

 

もしその第9惑星があるとすれば、それは地球よりも大きな海王星くらいの惑星の可能性があります。

しかし、これらは氷山の一角であり、第9惑星がないことを示す天体も見つかる可能性はあります。

 

研究チームは今年11月につぎの観測を予定していて、さらに多くの天体を見つけたいと意気込んでいます。もしかしたら、「パンくず」をたくさん拾って行けばその先には、「プラネット・ナイン」が見つかるかもしれません。

 

今回の天体は氷山の一角ですが

 

今年見つかった氷の天体、2015 TG387「ゴブリン」についてでした。

太陽系外縁の観測というのは非常に根気が必要なんですね。それでも、いつか第9惑星のような未知の発見があるかもしれないというのがあるから、興味深いんですよね!

 

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