宇宙雑学

航空自衛隊の「宇宙部隊」とは?宇宙監視部隊の役割は?

2018年11月2日

アメリカ合衆国

 

このたび、アメリカのトランプ大統領が宇宙軍を創設するということを指示したということがニュースになりましたが、

日本でも航空自衛隊が今から4年後の2022年に「宇宙部隊」を創設する方針を固めたということが発表されました。今回はこの件についてみていきましょう。

 

宇宙部隊とは?

 

2017年に日本の防衛省が予算案の概算に含めたものに、「宇宙関連経費」というものがありました。この予算が887億円とされています。

 

このような巨額はいったいなぜ必要になったのでしょうか。

 

防衛省では最近「宇宙開発利用に関する基本方針」で「宇宙監視を任務にした専従組織を置くことを検討する」と改訂し、この計画を進めてきました。

なぜ宇宙を監視する専従の組織が必要なのか、それは現在、「スペースデブリ」が問題となっているからです。

 

スペースデブリというのはこのサイトでも何度も紹介されている、「宇宙に漂う人間が作り出したゴミ」のことですね。

 

人類が初めて人工衛星を打ち上げたのが1957年、ソビエトの「スプートニク」ですが、それからというもの、世界の国々は多くの人工衛星を打ち上げ続けていて、それにともなってロケットの破片などがスペースデブリとなって増え続けているのです。

 

なんと、地球からでも観測できるスペースデブリだけで2万個以上にもなるというからおどろきです。

 

このスペースデブリが人工衛星にとって大問題になります。

 

以前も記事で紹介したように、スペースデブリは弾丸のような猛スピードで宇宙を漂っていて、人工衛星に衝突すれば致命的なダメージを受けてしまうからです。

人工衛星は現在の私たちにとって重要な存在です。天気予報や衛星方法、車のカーナビなどが利用できなくなると想像すると困りますよね?

 

また、人工衛星を狙う兵器も危険とされています。

このような状況があるため、防衛省は「宇宙関連経費」を要求したんですね。

 

人工衛星の脅威となっているスペースデブリ

 

防衛省は、宇宙を監視するレーダーを山口県山陽小野田市に建設する予定です。

このようなレーダーを運用するのが「宇宙監視部隊」です。

 

ただし、日本がこのようなレーダーを置いても、その監視範囲は日本の上空〜周辺のみです。

ここで重要になるのがワールドワイドな監視網です。

 

日本の防衛省はアメリカ・イギリス・オーストラリアなどが参加している多国間宇宙監視訓練に参加しました。ほかにも北米・ヨーロッパ・アジア・南半球の国が協力して広範囲の宇宙を監視することが重要になるでしょう。

 

2009年にアメリカのイリジウム社の通信衛星がロシアの軍事衛星と、上空約800キロという宇宙で衝突し、NASAは宇宙で初の衝突事故と発表しました。

このように、スペースデブリはこれからさらに増える続けることが予想されててい、事故のリスクもそれにあわせて上昇していく一方です。

 

スペースデブリを監視するという日本の計画は始まったばかりです。

この問題の根本的な解決は、もちろん「スペースデブリを減らすような新しい技術開発・国際的ルールの確立」であり、現在は多くの課題が残されています。

 

関連記事:【2018年まとめ】スペースデブリの最新対策方法について

関連記事:プラネテスのテーマにもなった宇宙のゴミ「スペースデブリ」の脅威と対策

 

宇宙部隊にはそのほかの狙いがある?

 

現在の日本政府は、自衛隊の集団自衛権の行使を認めたことに続いて、その活動を宇宙にまで広げることを考えているようです。

 

航空自衛隊の宇宙部隊は上記のようにスペースデブリを監視することが主な目的ですが、それに関連した情報をアメリカ軍に渡すことで、陸・海・空に次いで第4の戦場とされている宇宙においても日米の連携を強化するという狙いもあるようです。

 

また、宇宙部隊の創設は、宇宙開発においてアメリカとロシアを追いかけている中国をけん制する意味もあるという説もあります。

日本は2008年に「宇宙基本法」を通過させて、宇宙で軍事をする道を開き、この法で、24時間監視の早期警戒衛星・高性能偵察衛星・通信衛星等の打ち上げができるようにになりました。

 

2012年、「宇宙航空研究開発機構法」を改正することで、宇宙航空研究開発機構の活動は「平和目的に限定する」という規定を削除しました。

日本政府は「国家安全保障宇宙戦略」において人工衛星によって船舶を把握し、日本とアメリカの衛星が集めた画像のデータをシェアする予定です。

 

読売新聞が報道した中では、国家安全保障宇宙戦略で宇宙での軍事利用が加速されるだろうという見解が語られていました。

近年、日本は自主開発の新型固体燃料ロケットである「イプシロン」を発射・成功しました(2018年1月18日にはイプシロンロケット3号機の打ち上げに成功しています)。

 

日本メディアはこれを低コストロケットが発射可能になったとし、経済面を報道しましたが、漢陽(ハンヤン)大学・金慶敏(キム・ギョンミン)教授は、「このロケットは日本の独自技術で開発され発射コストも低いため、軍事的な意味は小さくない」と語っています。

 

 

どのような宇宙部隊になるのでしょうか

 

日本の航空自衛隊が2022年に創立するという、「宇宙監視部隊」についてでした。スペースデブリといのはやはり世界的に大問題になっていますね。スペースデブリを回収する、どのような技術ができるのか見守っていきたいところです。また、宇宙部隊には軍事的な意味もあるとされていますが、どうなのでしょうか。ちょっと、怖い感じもしますね。

 

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