先日、史上初の「宇宙犯罪」が起きたということがニュースになりました。
いったいどんな犯罪なんでしょうか?
ここで先日起きたという「宇宙犯罪」について紹介してみます。
宇宙飛行士が宇宙から銀行に不正アクセス?
先日、国際宇宙ステーションの任務の最中、別居していた同性のパートナーの口座に「宇宙から」アクセスしたという宇宙飛行士について、NASAが調査しているということがニュースになりました。
この史上初の宇宙犯罪をした人物というのが、ベテランの宇宙飛行士でアメリカ陸軍の中佐のAnne McClain氏。この人が、宇宙ステーションの滞在中に、NASAのコンピューターで、同姓パートナーというSummer Worden氏の銀行口座に不正アクセスしたらしいのです。
アメリカ空軍の情報将校だったWorden氏は、離婚の調停中に聞いたMcClain氏の言葉から不信を抱くようになったとニュースでは伝えています。Worden氏の要請から銀行が調べ、なんとNASAのコンピュータネットに登録された情報からWorden氏の銀行口座にアクセスがあったことが判明したそうです。
資金改ざんはありませんでしたが、McClain氏が口座に不正アクセスをしたとして、Worden氏はアメリカ連邦取引委員会に提訴しました。当のMcClain氏は、離婚で係争中だった財産を調べるため正当な行為としています。
また、Worden氏の親は、彼女たちが交際する前に生まれた、Worden氏の親権を得るために計算された策略と訴えています。しかし、ニューヨークタイムズ紙によると、McClain氏は交際中のときと同じパスワードなので、アカウントへアクセスするなと言われたことがないと言っているようです。
この件が大きく報道された後、TwitterでMcClain氏は「主張に確かな真実はない」とつぶやき、事件は「個人的別離」の一部としています。
McClain氏とWorden氏は2014年に結婚。2018年、McClain氏がWorden氏を暴行で訴え、Worden氏は暴行を否定して離婚を申し立てます。これは息子の親権のために訴えたとして、結局訴えは棄却されたそうです。
国際宇宙法について
宇宙で犯罪が起こった場合、法律はどうなるんでしょうかね?
「国際宇宙法」というものがあります。これは、宇宙空間に関しての国内法・国際法の総称です。
1959年の国際連合総会決議に基づき設置されることになった「国際連合宇宙空間平和利用委員会」の法律小委員会により作られ、1967年の「宇宙条約」を基本に「宇宙5条約」または「国連宇宙5条約 」とも言う5個の条約からできています。
宇宙法というものは、地球の国家主権が制限されているのが特徴です。これは、宇宙開発の技術が急激に発展したので法整備も急いで行われ、当初は宇宙活動を目指す国がわずかだったため、条約制定がやや容易であったことが影響しています。
なお、宇宙と国家主権の領域の「空」との境は、国際法では明確になっていません。しかし、今では当然宇宙の商業化が加速され、宇宙への民間企業の参入も多くなり、このため国内法整備も欠かせない時代になりました。
日本では、2008年に宇宙開発の基礎枠組「宇宙基本法」が施行されています。
国際宇宙ステーションで犯罪をするとどうなる?
現在のISS・国際宇宙ステーションには、アメリカ・カナダ・日本・ロシア・複数のヨーロッパの国が関わっています。現在の「国際宇宙法」によれば、ISSに関係している人・物に対しては、その人の国の法律が適用されるそうです。
たとえば、カナダ人宇宙飛行士が宇宙で犯罪をしたらカナダの法律、ロシア人宇宙飛行士が宇宙で犯罪をしたらロシアの法律が適用されるということです。国が宇宙空間での犯罪について別の国の人間を調べたい場合、地球で身柄引き渡しをするという規定もあります。
現在の宇宙開発の発展から宇宙観光がそろそろ現実的に見えてきた時代になっていますが、当然そうなると「宇宙犯罪」について明確にしておく必要性が出てくるでしょう。しかし、今はまだこの法的な枠組みは実施されていないそうです。ニューヨーク・タイムズ紙は、NASA内部筋では宇宙ステーションにおいて犯罪が起こることについて想定していなかったと語ったいたそうです。
宇宙でも犯罪を考える時代
史上初の「宇宙犯罪」についてでした。実は「国際宇宙法」というものもあるんですね。これはやはりこれからきちんとしていかないといけない部分でしょう。犯罪というのも人間が決めた枠組みですが、人間は宇宙に行っても犯罪をしてしまうんですね。