なんと、最近耳にすることがある「5G」によって、天気予報の精度がなんと40年以上前の、現在の精度から30%低下してしまうかもしれないという話があります。これはいったいどういったことなんでしょうか?
5Gについても含めて紹介してみましょう。
5Gとは?基本的な情報をおさらい
みなさんは最近、「5G」という言葉を聞いたことがないでしょうか?
5Gとは「5th Generation」の略称、日本語では「第5世代移動通信システム」という意味で、今年2020年は5G元年とも言われています。これは、1G・2G・3G・4Gと続いている、無線通信システムのことです。簡単にいえば、1Gというのはアナログ方式の携帯電話の通信システム2Gはデジタル方式の移動通信システム、3Gは5種類の地上系通信方式・6種類の衛星系通信方式、4GはIMT-Advanced規格の無線通信システムのことです。
5Gは、6GHz以下の周波数帯でLTE/LTE-Advancedとの互換性を持ちながら、6GHz以上のマイクロ波に近い28GHz帯帯域も使用する、新しい無線通信方式ということです。現在の4G/LTEからこの5Gへの変更によって、通信機器・産業機器のリノベーションが多くなり、これによって通信機器や電子部品の製造サプライチェーンにも多大な影響を与えるとされています。
関連団体によると、5Gが普及することによって、VRや自動運転、AIなどの関連技術が開発され、これらの革新により経済成長・産業の新陳代謝がうながされたり、2025年に5G接続数が12億になるという予測もあります。
5Gの利点は、「高速大容量」と「低遅延」という点です。5Gは急増している「通信トラフィック」の対応が課題で、無線周波数帯を確保することが重要になります。また、通信スピードの高速化のため、これまでより高い周波数帯を使う予定です。
その周波数帯では電波の直進性が現在のものより高くなるため、携帯電話の基地局の影で電波が届きにくくなるということがあるため、より多数の携帯電話小型基地局を数十メートルという単位で置く必要が生まれることになります。通信速度高速化は、もちろん高消費電力にもなりうるために、電池容量についても課題になります。
しかしこれは、以前から続いている課題でもありますね。また、無線通信方式が改良され、低遅延での無線区間通信も実現します。端末に近い基地局などの場所にサーバーを置き、端末とサーバー間の遅延を減らす技術の「モバイルエッジコンピューティング」が導入される予定です。これにより、基地局などの端末に近い場所で計算資源を置いて処理できるので、センターサーバーに送るデータ量も低減する効果があるとされています。
5Gによって天気予報の精度が大きく落ちる?
ところで、天気予報は便利ですよね。雨が降るという予報があれば傘を持って行って、濡れずにすむことができます。ネットで天気予報をいつもチェックしているという人も多いでしょう。最近の天気予報では、雨が降るか降らないかなどは、だいたい当たっていますよね。
ところが、この便利な天気予報が、上記の5Gによって、まるで40年前のように精度が悪くなってしまうという話があるのです。2012年のアメリカで、巨大なハリケーンが東海岸に上陸したことは記憶に新しいでしょう。このハリケーンは数日にわたって強い雨を降らせて大きな浸水を起こし、犠牲者は100人以上、インフラにも大打撃を与えました。
このようなハリケーンの進路などの気象予測がなかったとしたら、このような被害はさらに大きくなってしまうでしょう。現在の気象予測技術のおかげで、アメリカ連邦緊急事態管理局は事前に情報を国民に伝えることができたわけです。このような気象科学はこの数十年間で大きな進歩をしたとされています。地球の表面・大気、人工衛星の機器によってデータ収集をすることで、気象についての貴重の情報が手に入る世になりました。
この結果、現在では高度で広範囲の正確な気象予報が可能になりました。しかし、これまで当然のようになっていたこの高度な天気予報の精度が大きく低下する可能性があるということを最近科学者たちが警告しています。
2019年の10月〜11月に開かれた「世界無線通信会議」で、気象観測の電波を5Gなどの通信技術から保護する国際基準を定める会合がありました。ここで決定された内容に、NASAの関係者を含めた科学者が、現在の気象予測の精度を大きく低下させる可能性があるということを指摘しました。これによると、5Gによって天気予報の能力が今から40年前になってしまうかもしれないらしいのです。
5Gがなぜ天気予報に影響を与えるのか?
5Gのような高度な電気通信の技術は、電磁スペクトルの一定のスペースが必要になります。電磁スペクトルというのは、マイクロ波・赤外線・紫外線・ガンマ線・X線等の、すべてのタイプの電磁波を並べたものです。5Gは、この内のどこかの帯域を使うことになります。
電磁スペクトル上のスペースというものは、現在とても貴重なものになっています。気象予報に使われている大半の情報は、5Gのために通信会社が使いたいと思っている帯域の、すぐ隣によって収集されているのです。これは、例えるならアパートのようなもので、アパートでは一般的にはみんなが静かに生活しています。
ここでは、非常に静かな部屋が必要な人(気象用・科学用など)もいます。ところが、5Gのような電気通信信号は非常にうるさく、さらに、部屋の外にまで騒音を出しやすいということらしいのです。たとえば、昼寝をする幼児がいる保育所の横で工事をしているようなものかもしれません。もちろん壁はありますが、騒音は漏れます。
こう考えると、わかりやすいですよね。
天気予報は命を守ることもできるので問題
最新の電気通信技術「5G」によって、現在の天気予報の精度が大幅に下がってしまうかもしれないという話でした。これは、本当のことになると実に問題ですよねえ。上記のハリケーンのようなこともあるので、聞き流すことはできないようなものではないでしょうか?