広告 宇宙雑学

チチュルブ・クレーターとは?あの恐竜を絶滅させた隕石の証?

2021年4月5日

クレーター f

 

みなさんは「チチュルブ・クレーター」というクレーターをご存じでしょうか。クレーターといえば普通月にあるのを連想しますが、これは、地球にあるクレーターなんです。それも、形成されたのが宇宙の隕石起源とされているので、とても興味がわきますね!

 

ということで、今回はこのチチュルブ・クレーターについてご紹介しましょう。

 

クレーターってなんだろう?

彗星 f

 

クレーターは、天体の衝突等によってできる地形のことです。形状としては、円形の盆地とそれを取り囲むようにしてできた円環状の山脈のリムというのが基本ですが、実はいろいろな形態もあります。彗星や隕石、小惑星等の衝突でできますが、核爆発・火薬などの爆発でも同じ地形ができます。

 

メキシコにある「チチュルブ・クレーター」

中秋の名月 f

 

クレーターとしてもっとも有名なのはやはり月のクレーターですね。しかし、1990年代に発見された「チチュルブ・クレーター」と呼ばれるクレーターは、地球のメキシコ・ユカタン半島北部にあります。これは、約6604万年前に小惑星の衝突によってできたクレーターとされています。

 

チチュルブという名前は、中心付近の地名からきていて、「悪魔の尻尾」という意味のマヤ語です。直径は約160kmであり、これは現在確認されている地球のクレーターのなかでは3番目の規模になるそうです。ちなみに、これよりも大きな規模のクレーターは「フレデフォート・クレーター」と「サドベリー・クレーター」というものです。

 

チチュルブ・クレーターは、5億4200万年以降の顕生代に形成したのではと予測されるものとしては最大級です。このときの衝突が、恐竜を含めた多くの生物たちが絶滅した、白亜紀末のケースにおいてもっとも有力な原因とされているので、これはやはりすごいクレーターということになりますね。

 

では、やはりチチュルブ・クレーターを作った隕石はどのようなものだったのかが気になりますね。サイエンス誌によれば、衝突したとされる小惑星の大きさは、推定直径10-15km・衝突速度約20km/sとされています。衝突時エネルギーは広島型原子爆弾の約10億倍、衝突地点近くで起きた地震はマグニチュード11以上、津波は約300メートルの高さと推定されています。

 

 

衝突時には「この世の終わり」のような光景が

 

この小惑星が落ちてくる過程をシミュレートしてみましょう。それまで、ユカタン半島には太陽の光が降り注ぎ、いまではすっかり想像上の生物となった恐竜たちが、鳴き声をあげて歩いているとき、山のようなサイズの小惑星が、時速約6万4000キロという速さで地球に接近していました。

 

そして、太陽より大きくまぶしい火玉が空を一瞬だけ横切り、小惑星は広島型原子爆弾の約10億倍の爆発を起こし地球に激突しました。この衝撃は地下数キロまで達し、チチュルブ・クレーターを作り、これが地球規模の大災害の発端となります。生き物の約80パーセントは死に絶え、恐竜たちもほとんどが絶滅しました。

 

研究者によれば、もし生物が衝突地点に近い1000キロ以内にいたら、即死または数秒で火球によって死んでしまうそうです。その付近の場所でも、やはり死は免れないでしょう。

 

衝突して9秒後、周辺の木・草は火にまみれ、付近にいるすべての生物は一瞬で全身に重大なやけどを負います。その後には洪水が起こります。衝突の衝撃は、最大305メートルという巨大津波を起こします。これに続けて、少なくともマグニチュード10.1の地震が発生します。

 

小惑星の衝突から8分経つと、地殻からは噴出物が流れ、焼けた大地が熱い砂と灰で覆われていきます。衝突点付近は、厚さ数百から千メートルという岩屑に埋まったでしょう。それから約45分後、風が時速約965キロで一帯を吹き、立っているものすべてなぎ倒すでしょう。このときの起きる音は、105デシベルという轟音です。

 

 

重大な長期的な環境の変化もあった

恐竜 f

 

一般的には、このような小惑星衝突後の数分〜数日間に起きた現象が注目されがちですが、最終的に恐竜を含めた生命のほとんどを絶滅させたのは、その後の長期的な環境の変化です。この小惑星の衝突で、二酸化炭素は約10兆トン、一酸化炭素が約1000億トン、メタンが約1000億トンが一度に放出され、結果激しい温暖化が起きたためです。

 

 

隕石衝突のすさまじさ

 

メキシコにある3大隕石衝突のひとつ、「チチュルブ・クレーター」についてでした。このときの衝撃とその後の長期的な環境の変化によって、あの恐竜たちの絶滅が起きたという、とんでもないクレーターだったんですね。あらためて、隕石衝突のすさまじさというのが理解できるでしょう。

 

 

-宇宙雑学