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太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」の任務とは?超高温にどう耐えているの?

2018年9月4日

パーカー・ソーラー・プローブ

 

先日 NASA が太陽に接近する探査機を打ち上げたとしてニュースとなりました。

太陽に接近する探査機とは一体どういったものなんでしょうか。

ここでその探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」について説明してみます。

 

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探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」の任務は?

 

アメリカ航空宇宙局のNASAが、

太陽に接近するという探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」を

日本時間の8月12日夕方に打ち上げられたとしてニュースとなりました。

 

太陽といえば内部が超高温になっていることで有名ですが、

この探査機はどうやって近づくことができるのでしょうか?

 

NASA の「パーカー・ソーラー・プローブ」探査機の任務は、

私たち地球が住んでいる太陽系の恒星である太陽に、今までのどんな人工的物体よりも近づいて、

その中へと突き進んでいくと言う使命です。素人考えでは、

今まで想像もしなかったような宇宙のミッションですよね。

 

これによってNASAは何を調べるのでしょうか。

 

現在太陽で疑問とされていることは、

太陽の大気圏がプラズマでできている表面よりも数百倍暑いということや、

太陽から吹き出ているプラズマの流れである太陽風が生成されて、

これが超音速でなぜ遠くまで届くのかということです。

 

このような謎を解明するために、

今回の「パーカー・ソーラー・プローブ」が太陽のデータを収集します。

 

太陽へ接近するのは今年11月と予定されています。

ここで収集されたデータが、

太陽フレアの発生の原理の究明や気象の急な変化を予測するモデルの構築のために使用されます。

 

なぜこれが必要なのかというと、人工衛星がこれらによって不具合が起こり、

国際宇宙ステーションに滞在している人間にも危険が及び、

さらに、電力系統にも問題を起こす可能性があるからです。

 

このような調査をすることはもちろん簡単ではありません。

この探査機は、太陽の表面644万km以内に近づかなければなりません。

これは当然太陽の非常に強い、なんと50万度以上という高熱の中を飛ばなければならないからです。

 

なぜ、飛ぶことができるのでしょうか。

今回のミッションでは、ここが一番気になる点ですよね。

ここで探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」がどのような原理で

太陽の熱さを耐えることができるのかを紹介します。

 

いかにして太陽の超高温にも耐えることができるのでしょうか

 

まず、 熱を防ぐシールドがポイントです。

 

この探査機は太陽への接近を、約20回以上予定しています。

そこで最も大事になるのが耐熱シールドです。

これはディスク上になっていて、幅が約2.4m、 厚さが約11.4cmあり、 これが太陽の熱を防ぎます。

 

ポイントなのはもちろん素材です。

 

このフィールドには炭素でできた黒い色の断熱カーボンフォームに、

硬いカーボンファイバープレート2枚挟むような構造になっています

 

カーボンファイバーのプレートは応用物理学研究所のエンジニアが設計し、

炭素複合材料メーカーの「C-CAT」によって組み立てられました。

 

さらに、太陽の面した側には「ホワイトセラミックコーティング」がしてあります。

 

プレート表面になされたこのコーティングによって、

太陽からの熱を反射する能力が2倍になるとしています。

 

これによって、シールドの内部の探査機の温度は、

なんと、たった30度ほどなんだそうです。

 

アンテナにはどんな細工が?

 

コロナを調査するアンテナにももちろん熱に対しての対策が施されています。

 

この5本の長いアンテナのうち4本が太陽の熱を受けることになるため、

「FIELDS」という、ロケットエンジンにも使われているレアメタルにより、管状に作られています。

 

「SWEAP」という計測機器もあって、

これは太陽風に大く含まれている粒子の速度・密度・温度を調査します。

それには「ファラデーカップ」という特殊センサーによって粒子を捉える必要があります。

 

ここにも熱対策をします。太陽の熱に耐えるために、

融点約2,350℃という「チタンジルコニウムモリブデン合金」

をシート状にしたファラデーカップになりました。

 

計測機器には電流を集める金属プレートにつながった複数の電気格子を備えています。

これは3,000℃以上という熱にも耐えることができるタングステンによってつくられているので、

レーザーではなく「酸」を使っています。

 

耐熱ケーブルはサファイアガラス状の管に通しています。

 

無人での操作が一番難しい!?

 

それでも、おそらくこの探査機が直面する最大の危機は、

あらゆるプロセスの大部分を人間の操作なしで実行することでしょう。

 

ミッションの多で、耐熱シールドで通信が遮られる場合があります。

 

エンジニアはすべての問題を検出して探査機を復帰させるシステムをつくりました。

 

耐熱シールドの陰の部分に小さなセンサーは太陽光を検知するように置かれていて、

検知することで探査機に知らせ、耐熱シールドが働くような飛行コースを修正します。

 

研究者は、これまでの宇宙船のなかで最も自律飛行が可能なもののひとつですと語っています。

 

太陽に探査機が接近するなんてすごいですね

 

太陽に史上最も接近するという NASA の探査機パーカー・ソーラー・プローブについてでした。

 

パーカーは、11月に史上初めて太陽に近づきます。

研究者は、「これは太陽系最後の秘境のひとつと言えます。

まるで完全に未知な世界なです」と語っています。

 

探査機は打ち上げられたのがニュースになったばかりですが、

11月にもまたニュースとなるでしょう。

 

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