月の石ってどんな石?成分の中に地球の岩石も含まれていた?常時展示されている場所まで紹介

2019年3月3日

月の石 wikipedia

月の石 / wikipedia

 

月の石といえば、宇宙の物質として世界で有名な石ですよね!地球に現存している月の石は貴重なことが知られていて、日本では大阪万博のときに公開されて、大人気となったためにちょっとしたエピソードまであります。

 

今回は、そんなエピソードも含めてこの月の石についてみていきましょう。

 

月の石ってどんな石だろう?

アポロ15号によって持ち帰られたジェネシス・ロック wikipedia

アポロ15号によって持ち帰られたジェネシス・ロック wikipedia

 

月の石というのは、もちろん地球の衛星である月でできた石のことをいいますが、広い意味で月の探査中に見つかった物質の事を指している場合もあります。

地球には今、3つのタイプの月の石があります。

 

ひとつめがアメリカの「アポロ計画」で月から持ってこられたもの、ふたつめがソ連の「ルナ計画」で月から持ってこられたもの、そして最後があのクレーターが形成される過程でできたものが隕石として地球に落ちてきたものです。

 

アポロ計画で月の石はハンマー・レーキ・スコップ・トング・コアチューブなどの多くの道具を使用して採集されました。その石のほとんどは、発見した時に写真として記録されています。

 

採集する時にはサンプル袋に入り、さらに汚染を防ぐため「特別環境試料容器」というものに格納されて、地球に持ち帰られました。なお、2006年後期から月から地球に落ちてきた隕石は90以上にものぼっています。

 

月の石の成分は?

 

気になるのが月の石の成分ですね。放射年代測定では、月の石は基本的に地球上のものに比べて非常に古く、最新の石でも地球上の最古の石よりも古いとされています。その年代は、月の海から見つかった32億歳〜月の高原地帯で見つかった46億歳まであり、これは太陽系の生成早期にまで遡るサンプルの資料になるほどです。

 

超塩基性岩・塩基性岩で、地球上で一般的な地殻の岩石と比べ、月の石はマグネシウムに対しての鉄の量が少なく、カリウムやナトリウムという揮発性元素が乏しく、水分もほとんど含まれていないという特徴があります。

 

一方で、酸素同位体では地球の岩石ととてもよく似ている性質があります。

 

2008年に微量分子を検知できる「二次イオン質量分析法」を使うことで、ほんのわずかな微量の水が含まれていると判明され、月の地中の深くには、地球のようなマグマと同じ水分がある可能性も出てきました。

 

北海道大学が行った2011年の研究では、月の水は「水素同位対比」が地球のものと違い、彗星のそれに似ているということが判明しました。

 

月面は「レゴリス」という砂によって覆われていて、このレゴリスは隕石等によって細かくなった石が積載したもので、ほとんど月の全体を数十cm〜数十mで覆っています。

 

このレゴリスは非常に細かいため、月面探査においては宇宙服・精密機械等に入り込みやすいのが問題となりますが、レゴリスの約50%は酸素でできていて、これからは月での酸素の供給源・建築材料としての期待がされています。

 

太陽風から運ばれた水素や核融合の原料であるヘリウム3も着いていて、密度は低いですがこれらの供給源としても考えられています。

 

大阪万博で公開され大人気になりました

日本万国博覧会 wikipedia

日本万国博覧会 wikipedia

 

月の石といえば、日本でこんなエピソードがあります。

1970年に開催された大阪万博で、月の石が展示されて大反響となり、行列が出来るほどでした。

このことからも、当時は非常に珍して注目されていたものだったということがわかりますね。

 

中には行列で具合が悪くなる人もいて、そこで日本政府は、アメリカ政府から友好の証として贈られていた月の石を日本館で展示したというくらいの人気だったそうです!2005年の愛知万博でも公開され、現在は東京・上野にある国立科学博物館で常時見ることができます。

 

月の石のなかに地球の岩石が?

 

今年の1月、そんな月の石のなかに、科学者達が最も古い地球の岩石を見つけたという話がありました。

これはどういうことなんでしょうか?

 

海外の学術誌のオンライン版によると、アポロ計画で採取された月の石に、地球で最古の石が含まれているかもしれないというのです。論文の著者は、この石は40億年以上も前の地球で形成されたもので、「地球に隕石が落ちた拍子に月にまで飛ばされた」可能性が高いと考えているそうです。

 

この石はアポロ計画のときの月の石で最大のバスケットボールほどの大きさで、「角礫岩」という、無数の石のかけらが組み合わさったものです。この石の大部分は砕屑岩で暗い色をしています。その一部が明るい色をしていて、ここは地球の花崗岩と似ています。月は非常に古くて空気がなく、地質学的に不活発のため、表面には初期太陽系の隕石の衝突の跡が残されています。

 

月の表面に散らばる石のかけらは、その最大0.5%が地球でできたもので、ほかにも金星・火星等からきたものすらあると考えられています。

 

月の石とは思えない?

 

それにしても、なぜ月の石が地球でできたものなんでしょうか。研究者は、この石が月でできたと考えにくいとしているのです。この石の「ジルコン」という鉱物は、普通は酸素が多いマグマで形成されるからです。

 

また、この石をつくった衝突の深さは地下70キロメートルくらいであるのに、砕屑岩の部分は160キロメートルほどの地下でないとできないような圧力でできているのです。このため、地球でこの石ができたと考えると筋が通ると研究者は考えています。

 

現在は国立科学博物館で常時展示されています

国立科学博物館で展示されている月の石 wikipedia

国立科学博物館で展示されている月の石 wikipedia

 

非常に珍しくいので人気が高い「月の石」についてでした。地球の大昔の石が、地球に落ちた隕石によって月に弾き飛ばされたという説があるというのが、意外ですね。

 

大阪万博で月の石を見に行った方はいるでしょうか?

現在は上野にある国立科学博物館でいつでも見られるということで、興味のある人は見に行ってみましょう。

 

 

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