(プロキシマ・ケンタウリbの地表の想像図 wikipedia)
先日、地球に似ている7惑星が発見されたのが大きなニュースになりましたね。一般のニュースなどでも多くのところで取り上げられていたのでご存知の方も多いでしょう。NASA(アメリカ航空宇宙局)が今年の2月23日、39光年先の宇宙で地球に似ている太陽系外惑星7つを発見しました。
39光年先の惑星はどんな惑星なの?
(プロキシマ・ケンタウリbの想像図 wikipedia)
その惑星はほとんど地球と同じ大きさで、海が存在する可能性もあるそうです。海が存在するということは、生命に不可欠である水があるということになり、多くの人たちが夢見てきた「地球外生命体」の存在の可能性も出てくるわけですね。みずがめ座の方向、39光年離れた恒星である「トラピスト1」の周辺に、岩石でできているらしい地球に似ている惑星が、NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡などによって観測しました。7つ発見されましたが、1つの恒星系で7つ発見されるということは珍しいことになります。
生命が住むことに適しているハビタブルゾーン
太陽系の近くでこのような惑星系が発見されたということは、地球に似た惑星が今まで想定されていた数よりもはるかに多いだろうと考えられるでしょう。「トラピスト1」は太陽の質量の約8%、明るさは1000分の1ほどのM型矮星であり、太陽よりも暗く冷たい恒星ですが、7つの惑星は地球と太陽の距離よりも数十分の1近くにあり、温度は寒すぎたり熱すぎたりすることはなく、生命が住むことに適しているという「ハビタブルゾーン」にあります。実はこの「ハビタブルゾーン」は、太陽系外の惑星ではこれまで3500個以上発見されていて、地球ほどの大きさのものについてもいくつかありました。昨年の2016年8月に発見された、太陽系に一番近い恒星「プロキシマ・ケンタウリ」の惑星「プロキシマb」もこの「ハビタブルゾーン」です。では、今回の発見のどこが重要かというと、今回の発見は、今までよりも比較的近い時距離で、ハビタブルゾーンにある3つを含めた惑星7つが発見されたということが重要です。この7つの惑星はトラピスト「1b」や「1c」のように1の次にアルファベットをつけてられて、「1h」まで名づけられていますが、これらの星の1年の長さはなんと地球の時間にすれば1日と半日〜20日なんだそうです。公転軌道は水星の軌道より小さく重力で押し引きしていて、観測のパターンに小さな乱れを生んでいます。
このニュースについての論文を発表したネイチャー誌によれば、トラピスト1は若い星なので、数十億年後に太陽が燃え尽きた後でも、10兆年の寿命が残されているので、生命の進化のための十分な時間があるとしています。特に科学者たちが注目しているのが、主星から5番目の起動を回っている「トラピスト1f」です。この星が生命の活動に最も理想的な場所である可能性があります。
39光年という壁
(ハッブル宇宙望遠鏡で撮影されたプロキシマ・ケンタウリ wikipedia)
しかし、この地球に似た惑星は地球から39光年離れた場所にあります。39光年といえば、光の速さで移動しても39年かかるという計算になりますから、この惑星を研究するには技術の革新が必要になります。それでも現在、ハッブル宇宙望遠鏡で惑星の大気を調査中であり数年後は「ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」が打ち上げられ、「トラピスト1」やその惑星群をさらに詳しく観測できるようになるでしょう人類が昔から空想してきた、SFなどではおなじみの地球外生命体ですが、地球に似た惑星が発見されて海が存在するかもしれないというニュースだけでも夢のあるお話しですよね。もし「トラピスト1」に生命が存在した場合、ハビタブルゾーン内にあるといっても地球とは環境も大きく違っているので、その環境に適応した、地球の生命とはまるで違った存在になるだろうといわれています。どんな生き物になるのか、想像しただけでも面白いですね。このような宇宙の研究や最新テクノロジーを駆使した望遠鏡による探索で、地球外生命体の有無についての答えがほんのすこしずつでも近づいていることは間違いないでしょう。