衛星

惑星の周りを公転している衛星(えいせい)とは何?

2017年10月18日

 

宇宙の星は大きく分けて、惑星と恒星、衛星という3つのタイプに分類されています。衛星のなかで一番わかりやすく身近なものは、地球の近くを周っているみなさんよくご存知の「月」などですよね。ここでは、月を含めた衛星についてみていきましょう。

 

衛星の概要とその組成について

 

衛星とは、惑星・準惑星・小惑星などの付近を公転している、天然の天体のことを指します。ここで見分けがしにくいのは、たとえば土星の環を構成している氷・岩などの小天体は衛星に分類できないということです。

 

我々が住んでいる太陽系の惑星では、水星・金星以外の地球・火星・土星・木星・海王星・天王星、準惑星の冥王星・マケマケ・ハウメア・エリスなどには、すくなくともひとつの衛星を持っています。小惑星も、衛星を持っているものが100以上確認されています。衛星の組成は、地球の衛星の月や木星の衛星のイオは主に岩石でできていますが、ほかのものは岩石と氷からできています。

 

ほかには、木星の衛星エウロパのように岩石の「核」の周りに氷の厚い層ができているもの、同じく木星の衛星カリストのように岩石と氷が分離せずに混ざり合っているものなどがあります。メタンのような炭素化合物、アンモニアのような窒素化合物を含んでおり、タイタンは窒素からできている大気があり、地表にはメタンの液体があります。

 

地球の衛星、「月」の起源は!?

 

ここでは我々人間にとって、もっとも身近な衛星である月について説明してみましょう。月は地球の唯一の衛星であり、地球にもっとも近い天然の天体です。アポロ計画によって、人間が自らの足で到達した唯一の天体でもあります。地球から月を見ると明るく見えますよね?あれは、月が光っているのではなく、太陽の光が反射されて明るくなっているのです。月は天球上の「白道」と呼ばれるコースを、ほぼ4週間の周期で運行しています。白道というコースも19年の周期で揺らいぎが起きていますが、「黄道帯」という、黄道周辺8度の範囲には収まります。ほぼ2週間ごとに、月は黄道を横切っています。

 

月は直径が地球の4分の1と、地球と比べて衛星として大きいので、二重惑星ではないかという説もありました。月の起源としては、「古典的学説」「ジャイアント・インパクト説」「複数衝突説」という3つの説があります。古典的学説には、自転の遠心力で地球から一部が飛び出したという親子説、地球と同じガスから同時にできたという兄弟説、月と地球が偶然近づいたときに地球の引力につかまったという他人説がありましたが、これらは現在では矛盾がある説とされています。ジャイアント・インパクト説というのは、地球が他の天体と衝突した際に飛び散った物質が集まってできたという説です。

 

この説が現在最も多数派なもので、原始の地球に、火星サイズほどの天体が強烈に衝突して、その破片より月が作られたという説なんですが、このシナリオではその衝突した天体の大きさ・衝突速度・ぶつかった角度等の条件が、「現在の月になるために最適なものでなくてはならない」という、強い制限が問題となります。言い換えると、この説によれば「今ある月は、幸運が重なったためにできた」ということになるでしょう。また、衝突した天体と地球の化学組成の違いも月にあるはずで、つまり地球・月の組成は違うということになるのですが、月の石の分析結果などから、地球・月はほとんど同じ組成であることが判明しています。

 

そこで、新しい新説がでてきました。それが「複数衝突説」です。複数衝突説というのは、ジャイアント・インパクト説のようなとても大きな衝突によって形成されたというものではなく、地球の10分の1〜100分の1ほどの小天体の、小さい衝突が20回くらい重なって月ができたという説です。

 

この説だと、衝突した天体の大きさ・速度等の限定的条件が不要となり、また、複数回の衝突は一回の巨大衝突より多くの物質が地球から出されることとなり、数百万年間で何度かの衝突が繰り返されることから、地球・小天体の化学組成の違いが平均化してわからなくなるとも言われています。

 

木星の4つの「ガリレオ惑星」の特徴

 

太陽系の各惑星の、現在知られている衛星の数をみてみましょう。

 

水星:0

金星:0

地球:1

火星:2

木星:63

土星:56

天王星:27

海王星:13

冥王星:2

 

となっています。こうして見てみると、木星と土星が極端に多くなっていますね。現在確認されている中では、木星が最も衛星を持っているということになります。

 

木星の衛星の中で有名なのは、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストの4つの「ガリレオ惑星」です。これはもちろんあの有名な天文学者ガリレオ・ガリレイにちなんだ名前の惑星で、木星の衛星のなかでもとくに大きく、ガリレオが自分で作った望遠鏡でも見ることができたのです。当然、現代の双眼鏡などでも見ることができます。1610年にガリレオがこれらの4つの天体が、木星を周回していることをを観測しました。これは、ガリレオが信じていた、当時のキリスト教の教えの天動説に反するコペルニクスの地動説の裏づけにもなりました。

 

「イオ」はガリレオ衛星のなかでもっとも内側の衛星で、活火山をもっています。

「エウロパ」はガリレオ衛星のなかで最も小さく、表面が氷で覆われており、内部では水がある可能性もあるとされています。

「ガニメデ」は太陽系の衛星の中でもっとも大きな衛星です。

「カリスト」は無数のクレーターが表面にある衛星で、ほかの3つの衛星のように活動的な痕跡がありません。木星から一番離れているので、潮汐力の影響を受けず早々に活動停止したとされています。

 

 

月に関しては、いろいろな人間の文化がありますね

 

宇宙にある星の3つの分類のひとつ、衛星についてでした。月はもちろん昔から文化などでも人間と深いつながりのある衛星です。この時期は中秋の名月といって、お月見をするのが慣わしになっていますよね。月見○○という、いろいろな食べ物が販売されたりする時期でもあります。満月の夜は犯罪率が上がるという説もあり、「狼男」という伝説などもあります。お月見をしながら、月の起源について想像してみるのも面白いでしょう。

 

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