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スペースコロニーって実現可能!?問題点などについて

2018年1月5日

 

「スペースコロニー」というのは、

「2001年宇宙の旅」や「ガンダム」シリーズなどのSFの映画やアニメなどでおなじみですね。

この建造物は、人間が宇宙で住むための居住区なんですが、実現には多くの問題があるようです。

 

今回はこのスペースコロニーについて、

アイデア誕生の経緯や問題点なども含めて紹介してみます。
 

スペースコロニーのアイデアはいつ生まれた?

 

スペースコロニーとは、宇宙に人工的に作られた人間の居住区のことです。

スペースコロニーといえば、やはりアニメの

「ガンダム」シリーズなどで登場するので知っている方も多いでしょう。

 

スペースコロニーのアイデアは、1969年のアメリカはプリンストン大学で、

教授のジェラルド・オニール氏と学生たちがセミナーで宇宙に

大きな人工居住地を作ってみてはどうだろうという提案をしたことから誕生しました。

 

オニール教授は、1969年のアポロ計画で初めて

月に人間が降り立ったときにこのアイデアが浮かんだそうです。

 

これが、その後1974年の「ニューヨークタイムズ」で掲載され、

ここから有名になっていきました。

 

スペースコロニーは地球〜月の引力が安定している「ラグランジュポイント」に置かれ、

人が住む区域を回転させることで遠心力を生み、

擬似的な重力を作ることで、人間が地球と同じような生活ができる仕組みとなっています。

 

地球に住んでいる人間からすると、

居住区を回転させるというのはどういうことなんだろうと考えてしまいますが、

これで重力を作ることができるわけですね。

 

総重量は推定で約1,000万tにも達するというコロニーの内部は居住区や農業区などに分かれて、

生活のための動物飼育や植物の栽培を行います。

 

これは当時から地球的な問題となっていた人口爆発や

資源の枯渇といった問題に対しての対策のひとつとして注目を集めました。

 

当時もすでに人口は40億人を突破していて、

100年後は300億人になるという計算もありました。

試算ではこの計画を実現するために約20年の年月に約2,500億ドル、

当時の日本円で約60兆円という膨大な費用がかかるという巨大プロジェクトでした。

 

しかし、現在では宇宙開発投資の抑制や先進国での出生率低下などもあり、

具体的なプロジェクトにはなっていません。

 

スペースコロニーの種類について

 

スペースコロニーには多くの形が提唱されています。

ここでそれらをみていきましょう。

 

まず、スペースコロニーのなかでもっとも一般的に知られているのが「シリンダータイプ」です。

これは上記のジェラルド・オニール氏が1974年に考えたデザインで、「島3号」とも言われています。

 

直径6.4 kmで長さが32 km、数百万人の人が住むことを想定していました。

1分50秒で1回転することにより、地球と同じくらいの重力を生み出します。

シリンダーの内部は、軸に6つの区域に分かれ、陸・窓が交互になっています。

 

窓の外に太陽の光を反射する動く鏡が置かれ、

これによって昼・夜、季節の変化がつけられます。

 

1929年にジョン・デスモンド・バナールが考案したのが「バナール球タイプ」です。

スタンフォード大学で再設計されたものは直径が500m、

人口1万人が居住し、1.9rpmで回転して赤道部分に地球と同等の重力を持つ構造のものが提唱されました。

 

この案では、太陽の光は外部にある鏡により反射されて、

極近くの大きい窓から取り込まれるといった仕組みとなっています。

 

ドーナツ型の「スタンフォード・トーラス」は、

その名の通りスタンフォード大学が1975年に提案されたデザインです。

 

リングはスポークにより結ばれて、スポークは人・物の移動でも使用されます。

スポークに繋がっているハブは無重力なので、宇宙船がドッキングするときなどに使われます。

 

1996年に、日本の大手建設会社「大林組」の季刊誌にて紹介されたデザインが「スペース・ナッツ㈼」です。

これは、長さが1.9kmで、あの「アポロチョコ」のような双円錐状の形がユニークなコロニーです。

外殻・内殻の2層で、人口は2千人居住します。

 

太陽向きの外殻の表面には太陽電池パネルが覆われていて、

外殻・内殻の隙間が宇宙港です。

コロニーの後方にあのソーラーセイルによって軌道の維持を行います。

 

 

スペースコロニーの問題点とは?

 

SFアニメなどでおなじみのスペースコロニーですが、現実の世界ではまだ実現していません。

現実にスペースコロニーを宇宙に建設するには、多くの問題が存在しているからです。

 

まず、スペースコロニーではコロニーを回転させることで

人工的に重力を作り出す仕組みがありますが、この回転が問題です。

 

NASAでは回転による遠心力が重力の代わりになることを研究で証明しましたが、

一定以上の回転しているコロニーでは乗り物酔いが起こったり、地球上とは違う運動が起こります。

たとえば、ボールを上に投げるだけでも、地上とは違う複雑な軌道になるそうです。

 

「放射線」は宇宙空間で人が住むことの大きな問題となっています。

 

そのひとつが「宇宙線」であり、宇宙に住むと年間で年間で80mSvの被曝をしますが、

年間で50mSvまでが安全上の最大値とされていて、

健康上に問題がない値は最大で年間3mSvということで、いかに宇宙線が危険かがわかるでしょう。

 

さらに、太陽フレアからたまに放射される「大量のX線」

「高エネルギー荷電粒子」があります。

これらの放射では、50%の致死線量である4Sv以上の放射線が放出されことになり、

まれに放出されるとはいえ大変危険です。

 

ただし巨大スペースコロニーでは、2m以上の厚さの鉄と空気が、

効果的にガンマ線を遮蔽してくれることが研究で発見されました。

小さいコロニーは外側に多くの岩石を浮かべて盾にすることができます。

太陽の光は、放射線対策のルーバーから鏡を通し入射させることが可能です。

 

人間が生活するために、コロニーの中には当然地球とそっくりの大気を作る必要がありますが、

それには酸素と窒素が大量に必要となります。

 

地球から送るには費用がかかりすぎるため、空気のリサイクルをする必要があります。

光合成の庭園を作ったとしても、安全のためには多くの不純物を取り除く必要があります。

 

スペースコロニーでは温度管理も大変なことになります。

コロニーは真空にあるので、取り入れた太陽の光と、生物が出す熱を除去するラジエーターが必要です。

 

とても小さなコロニーはコロニーと共に回転する「放熱翼」方式が考えられます。

対流によって暖かい空気がこの放熱翼に集まり、

冷えた空気はコロニー内に沈んでいくとされています。

他の方式では、中心的なラジエーターで冷やした水等を冷却材に分配するということなどもあります。

 

また、万単位の人が住む、薄い壁でできた建造物であるコロニーというものは、

事故やテロなどの被害に非常に弱いとされています。

非常時のための設備や住民の訓練も必要となるでしょう。

 

 

スペースコロニーの建造がイギリスで計画中!?

 

このように実現には多くの問題があるスペースコロニーですが、

近頃、イギリスの「英国惑星間協会(BIS)」という協会が、

20年後をめどに、1000万人を収容するスペースコロニー製作を開始したというニュースを、

同国高級紙の「The Independent」が報じました。

 

「Island 1」と名付けられた計画中のスペースコロニーは、

直径約6.5km、長さ約32kmという円筒形のコロニーで、1000万人が収容できる予定だそうです。

 

「10年後に計画をスタートし、20年後にスペースコロニーを完成させるつもりです。

1970年代より遥かに効率的に実現できるでしょう。

素晴らしいことではないでしょうか?」とBIS会長のジェリー・ストーン氏が語っています。

 

40年前にジェラード・オニール博士がスペースコロニー計画をしたものの実現しませんでした。

ストーン氏はこの研究成果を引き継いで実現を目指すつもりだそうです。

コロニーのデザインについても、当時のアイディアを参考にしています。

 

コロニー製作の材料は、月や地球の近傍惑星等から採取し、

コロニー運営のエネルギーは太陽パネルによって供給される予定です。

宇宙で得られるエネルギーは地球で生成するより遥かに効率的のようです。

 

人工重力は、地球と同じ「1G」ではなく、

「0.9G」や「0.8G」等の弱い重力のほうがコロニー・住民への負担が少ないので望ましいとしており、

コロニーに住む人は地球の人よりも長生きで、背も伸びるのではと同氏は述べています。

 

今までのスペースコロニーの計画は、コロニー製作の技術面が特に焦点となっていまいたが、

この計画はより包括的。現実的であり、たとえば、

「ローサムステッド農業研究所」と協力することでコロニーの食糧生産をしたり、

街づくり・住居・オフィス・行政・公園・農業・生態系・政治・法律制定等、生活問題にも順次研究していくそうです。

 

 

おなじみのスペースコロニーが本当に実現するかも!?

 

スペースコロニーのお話でした。現在計画中のコロニーもあるんですね。

まったく夢のような話ですが、20年後ということは我々が生きている間に実現するかもしれません。

今後の研究に期待しましょう。

(画像引用元:スペースコロニー wikipedia)

 

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