地球の地磁気に乱れができることを「磁気嵐」と呼びます。
一般的にはあまり知られていませんが、
この磁気嵐は地上に少なからず影響を与えているのです。
今回はこの磁気嵐についてのお話です。
(画像引用元:磁気嵐 wikipedia)
磁気嵐ってなんでしょうか?
磁気嵐とは、地球の中緯度〜低緯度の全地域で地磁気が少なくなる現象です。
地磁気というのは、地球が持っている磁性のことで、
磁場というのは向きと大きさをそれぞれの地点で持つ物理量です。
この単位は「T(テスラ)」と呼ばれています。
地球の磁場は弱いため、普通はnT(ナノテスラ)という表記になります。
つまり、これが減少するのが磁気嵐ということなんですね。
普通の磁気嵐は、数時間〜1日ほどという時間で磁気が少なくなり、
そこから数日にかけて回復していくというものです。
普通は1000分の1ほどの磁場の変化になりますが、
大きいものでは100分の1という変化が見られることもあります。
なぜ磁場が変化するのかという基本的な疑問がありますが、
これは「リングカレント」が発達することによる効果ではないかとされています。
このリングカレントというのは、惑星の磁気圏に捕捉された荷電粒子が起こす電流のことで、
「赤道環電流」とも呼ばれています。
磁気嵐が起きるのは南向き磁場をもつ「太陽風」が地球の磁気圏に吹くときで、
リングカレントに太陽風の磁場が大きな役割を持っていると考えられています。
このうち、大きい磁気嵐の多くが、
「太陽フレア」に伴ったコロナ質量放出というプラズマが太陽から出されて
これが南向きの磁場をともない地球の磁気圏に吹いた場合に起こっています。
この磁気嵐はフレアが発生してから1日から数日の間に観測されていて、
太陽フレアは太陽の黒点活動と関係があるので、
「太陽黒点数」が多い太陽が活発なときに起きやすいとされています。
磁気嵐が実際に地球に与えた影響
気になるのが、地磁気の地球への影響についてです。
磁気嵐は激しい「オーロラ嵐」も同時発生させる場合が多くあり、
特に高緯度の地域ではその効果で急激な磁場の変化が観測されます。
このような磁場の変化は送電線などに「誘導電流」を作り、
高緯度の地域に住んでいる人たちの生活に影響を及ぼすことがあります。
1989年の3月13日に、太陽フレアが原因となって強い磁気嵐が発生し、
ここから激しいオーロラ嵐が磁場の変動させて、
カナダはケベック州の発電所のシステムが停止し、
9時間異常という長時間の停電が起きています。
オーロラはテキサス州・フロリダ州といった南部でも見られましたが、
冷戦時だったのでこれを核攻撃と思う人もいたそうです。
現在では、アメリカ合衆国のエネルギー規制委員会・FERCが、
電力会社に対し電力網をこのような大規模の磁気嵐から保護する基準作りをするように指導しています。
その他にも、磁気嵐が起きることで人工衛星の故障、
無線通信障害等の影響が起きる場合があるります。
1988年の6月、フランス〜イギリスで開かれた「国際伝書鳩レース」は、
強い磁気嵐の日に行われたため、
5000羽の鳩のうちレース終了のゴールに着いたのはその5割程度といった、
めったにない結果となってしまいました。
鳩には磁気コンパスが体内にそなわっていて、
磁場から方位を読み取る能力を用いて飛んでいるという説が以前から考えられていましたが、
この事件から学者たちによって鳩の磁気コンパスを検証する実験が多く行われて、
結果、鳩が磁気コンパスを体内に持っていることが証明されたというエピソードがあります。
人体に影響はある?
さらに気になるのは、人体に影響はあるのでしょうか?
太陽フレアについては、頭痛やだるさなどが起きる可能性があるとされています。
磁気嵐については、地球に大気・地磁気があるために
身体に直接の大きい影響はないとされているのですが、
宇宙ステーションの宇宙飛行士の健康に影響が起こる可能性があるといわれています。
磁気嵐は聴覚や視覚の煩瑣速度を低くするという実験結果もあり、
これによると高齢者が顕著になるそうです。
飛行機に乗っている人間の被ばく量が増えるといったことも考えられています。
磁気嵐で電子製品が危ない?
磁気嵐についてでした。地磁気というのもわかりにくいものがありますが、
現在はGPSとかいろいろな電子製品全盛の時代なので、
これらに悪影響を与えてしまうかもしれないというのは大問題になりますね。
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