2019年、史上初となるブラックホールの撮影が成功したというニュースがありました。これは銀河M87の中心に存在するブラックホールでしたが、このたび、今度は天の川銀河にあるブラックホール「いて座Aスター」の撮影に初めて成功したというニュースが届きました。
今回はこのニュースについて紹介しましょう。
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あのブラックホールが拝める時代になりました
その天体からは光すらも抜け出せないというブラックホールは、昔から人間の想像力や好奇心を刺激してきました。そんなブラックホールの撮影が2019年成功したというニュースを覚えている人も多いでしょう。
なにしろ、これまでほとんどの人が知っているのに、誰も見たことがなかった天体ですからねえ。撮影されたのはおとめ座Aとも呼ばれる銀河M87の巨大なブラックホールでしたが、今回は我々の天の川銀河の中心のブラックホールが撮影されたというニュースです!
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いて座Aスターの研究は何十年も前からあったんです
2022年5月12日、イベント・ホライズン・テレスコープ、略称「EHT」は、天の川銀河の中心にある巨大なブラックホールの撮影に成功しました。撮影されたのは、「いて座Aスター」という天体。
質量は太陽の400万倍という、いて座Aスター自体は数十年前から研究されていました。この名前は、この天体が位置している星座からつけられています。今回の撮影では、ブラックホール周辺で回転している水素ガスリングも発見されています。
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ブラックホールのオレンジの光なんてとっても意外!?
今回も以前のブラックホールの画像と同じように、まわりにオレンジの光が見られますね。ブラックホールといえば黒!というようにいつも連想しているので、やはり意外と感じる人がほとんどでしょう。ただ、ご存じの通りブラックホール自体は完全に黒い天体なんですが、周囲の光のガスが明るいリング状に見えているんですね。
今回の天の川銀河の中心のブラックホールの撮影は、どのようにして行われたのでしょうか。このブラックホールの撮影のため、撮影プロジェクトは世界にある8つの電波望遠鏡を結んで、地球規模の望遠鏡を作りました。直接見ることが不可能な天体のブラックホールをどのように観測するのかというと、その周囲のガスを利用して行います。
ブラックホールの強力な重力に引かれたガス等の物質は、真っ直ぐに落下しないで、高速周回しらせんのようにに落ちていくため、ブラックホール周囲に「降着円盤」という構造ができます。
この降着円盤から、可視光線や電波、X線といった、多くの波長の電磁波が出されています。電磁波は一部が地球に向かいますが、ブラックホールの強い重力により進行方向が「曲って」地球へ向かってくるものがあります。
この電磁波を地球規模の電波望遠鏡で捉えることによって、今回EHTはブラックホールの「シャドウ」を縁取っている、光のリングの撮影に成功しました。しかし、これは非常に難しいものだったようです。
いて座Aスターのブラックホールの周りのガスが、ブラックホールを1周回する時間はわずかに数分という短さ。こうなると、撮影は非常に大変なものとなります。これはたしかに、あのブラックホールを周回するのが数分なんていうことは、想像してみるとすごい速さになりますよね。なにせこのガスは光に近い速さで動くというからすごいですね。
EHTの観測の莫大な量のデータをスーパーコンピュータで分析。同スパコンはブラックホールの数値シミュレーションも作成しこれと比較。緻密な解析を経て今回の画像が作成されました。
国際チームの日本代表である国立天文台・本間希樹教授は、「今回のブラックホールとM87のブラックホールの画像をよく比較することで、活動性の違いや銀河への影響の解明に役立ち、重力の強い空間で既存物理法則が成り立つのかどうかという検証もできるだろう」と話しています。
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好奇心をくすぐるようなニュースでした
天の川銀河中心のブラックホール「いて座Aスター」の撮影に初めて成功したというニュースでした。2019年にも話題になったブラックホールの画像ですが、今度は我々が住む天の川銀河の中心にあるブラックホールが撮影されました。
ブラックホールの撮影ということでは、今回で2度目ということになりますね。国際チームの日本人メンバーは5月12日、東京で記者会見をして「ブラックホールや銀河の多様性の研究における新しい幕開け」と語りました。
今回の撮影はM87のブラックホールのものより困難で、スーパーコンピュータの解析や分析によって作成されたんですね。これまで理論上の存在だったブラックホールが撮影されたということで、ワクワクするニュースですね。
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