あなたは月面基地と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。
漫画やアニメの1シーンをイメージする方も多いかもしれません。
私は手塚治虫の「火の鳥(復活編)」で
汎用ロボット「ロビタ」が働いていた月面基地を思い出しました。
(画像引用元:月面基地 wikipedia)
各国の月面基地計画
・アメリカ合衆国
アメリカ航空宇宙局 (NASA)は2006年に月面基地の建設構想を発表していました。
その構想とは、無人探査を実施してから、2020年までに月面基地を着工するというものです。
また、各国の宇宙機関や民間企業にも参加を呼びかけており、
国際宇宙ステーション(ISS)同様の国際基地となる見込みでした。
その前段階としてNASA(アメリカ航空宇宙局) は2009年、
新型ロケットや月面着陸船を開発するコンステレーション計画を本格的にスタートさせましたが、
2010年にバラク・オバマ大統領により計画が中止され、計画は仕切り直しとなりました。
アメリカのトランプ大統領は2017年12月11日、アメリカ人宇宙飛行士を再び月面に送り、
火星探査に向けた足場となる基地を建設する新たな計画を発表しました。
・ロシア連邦
ロシア連邦宇宙局は2007年8月、2025年までの有人月面着陸と、
2028年~2032年の月面基地建設を中心とした、長期計画を発表しました。
しかし、2014年の報道によると、
2040年までの基地建設が目標とされており、計画時期が大幅に延期されています。
ロシアの民間企業であるロシア・エネルギア社では、
ヘリウム3の採取を目的とした月面基地計画も進められているようです。
・日本
日本の宇宙航空研究開発機構 (JAXA) も2020年前後の有人月面着陸と、
2030年前後の月面基地建設構想を明らかにしています。
現時点では有人宇宙飛行に向けた具体的な発表はなく、
長期的視野に立つ目標の域を出ていないようです。
月面基地建設の目的
・資源の採取(鉱物資源/エネルギー資源)
月基地計画の目的の一つとして月の資源採取があるといわれます。
その中でも注目さえているのが、将来的に核融合発電の燃料となると期待されているヘリウム3です。
ヘリウム3は地球ではヘリウム4の100万分の1しか存在しませんが、
月では、太陽風から供給されるヘリウム3が蓄積しているので、
地球よりもはるかに多く存在しているようです。
・月面観光
月から眺める青く輝く美しい地球は月観光旅行の目玉となるでしょう。
また、大気が無いため地球上とは異なる趣の宇宙の景観が楽しめることも月面観光の魅力です。
1/6の重力を利用した乗り物やアクティビティなども開発されるでしょう。
役目を終えた研究施設も観光スポットとして利用されるかもしれません。
・天体観測
月には大気が無いので、星からの光が散乱されることや途中で吸収さえることがありません。
これは天体観測にはとても好都合です。
また、夜側は低温で安定しているので、装置の精度の揺らぎが少なくなります。
月の 裏側では、雑音となる人工の電磁波がないこともまた利点の1つといえます。
このほか、地盤が安定していること、自転周期の関係で夜が14日間続くので、
継続した観測ができることなどがあげられます。
・実験設備
月面では空気が無い、重力が地球の1/6という特異な環境なので、
この条件を利用した研究設備の建設が行われるでしょう。
スペースシャトルの宇宙実験の場合は時間が限られていますが、
月基地は常設の実験設備としていつでも使えるという大きなメリットがあります。
研究テーマの例としては、低重力環境での体内のカルシウムの流出状況、関節炎などのような、
重力が回復の妨げになっている病気の治療、
心臓や循環器系に関する研究などに効果が期待されています。
月面基地建設の課題
最初の月面基地の候補地としては月の極点付近が有力でしょう。
極点は地球から見た月面の裏表の境目でもあり、昼と夜の境界にもなっています。
地球との交信がしやすく、太陽エネルギーも利用できます。
建設地が決まったら、まず、そこに大量の原料とロボットを送り込みます。
有人基地を作るとしたらアポロ宇宙船で60回以上も往復する計算になります。
無人基地であればそれよりは少なくて済みますが、それでも数年はかかります。
最初は無人基地を建設して有人基地の準備を進めていくことになるでしょう。